歯の病気は見た目ではわかりません‼︎ 歯科レントゲンでのチェックが大切です

今回は、スケーリング(歯石とり)に起こったお話です。

歯石がついているとのことで来院したSちゃん。

先日、全身麻酔下でのスケーリングと歯科検診を実施しました。

上の写真は、スケーリングの後の歯科検診の時の写真です。

赤い矢印の歯が、今回のお話の歯です。

この歯は、歯石も少なく、歯茎の腫れや赤みもなく、とてもきれいに見えます。

触ってみると、ほんの少しぐらつきがありました。

        

歯科レントゲンで確認すると、この歯は歯茎の中で折れていることがわかりました。

折れた歯をそのまま放置していると、感染を起こして歯茎が腫れてしまったり、化膿したり、歯槽骨(顎の骨)を溶かしてしまい他の歯にも影響を及ぼしたり、ひどい場合には骨折をしたり腫瘍ができたりしてしまうこともあります。

今回は、抜歯治療をしました。

上の写真のように、残根(歯の根っこが残ること)がないように、歯科レントゲンで確認しながら抜歯をします。

上の写真のように、残根がないことが確認されたため、治療は終了です。

以前に抜歯をしてもらったことがある子の来院も多いですが、残根があるのに歯科レントゲンで確認されず、そのまま放置されていて、当院でのスケーリングの時にたまたま見つかるということもあります。

Sちゃんは数年前にも当院でスケーリングをしていて、その時の歯科レントゲンを確認すると、この歯は折れてはいませんでした。お迎えの時にオーナー様に確認すると、口を痛がる様子もなかったため、前歯が折れていることには気づかなかったそうです。

 

今回のように、歯の状態は見た目だけではわからないことも多いのです。

 

当院でのスケーリングは、歯科検診と歯のレントゲン写真でのすべての歯の観察がセットになったもので、今回のように、まだ症状のでていない歯の疾患の見逃しがないようにしています。

 

また、硬すぎるものを噛むことは歯を折ってしまう原因になりますし、硬いものを噛ませることが歯みがきの代わりになることはありませんので注意しましょう‼

 

嫌がる子も多い歯みがきですが、歯みがきペーストなどを使って美味しく、褒めながら楽しく歯みがきができるように頑張りましょう!

 

歯みがきが上手にできない、歯の状態や歯石などを見て欲しい などのご相談は、いつでもお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。


耳疥癬:犬や猫の耳ダニ(ミミヒゼンダニ)は、飼い始めに多く、とても痒い感染症です。

今日は、最近の耳の診療中にビデオオトスコープ検査で耳ダニが見つかったので、耳ダニについてお話ししていきたいと思います。

●耳ダニとは?
耳ダニ症(耳疥癬・ミミヒゼンダニ)は、ミミヒゼンダニの感染によって起こる病気で名前の通り耳(外耳道)に寄生する病気です。

子犬や子猫の飼い始めの時期に多い寄生虫感染症で、褐色から黒っぽい耳垢が多かったり、しきりに頭を振ったり耳をかいたりしているときは、感染している可能性がありますので、検査や治療が必要です。

耳ダニは、外耳道に住み着いて、皮膚表面のフケやリンパ液を摂取して生活しています。皮膚表面を引っ掻いた時に、強いかゆみが出てくるため、これに感染するとものすごく痒がる症状をだす子が多いです。

●症状は?
 ①頭をふる
 ②耳を激しく掻く
 ③匂いのする褐色〜黒い耳垢がでてくる
 ④耳介が腫れてくる(耳血腫)
 重症化すると…
 ⑤平衡障害
 ⑥旋回運動
 ⑦斜頸
 などの内耳炎による前庭障害が起こることもあります。

●検査
 ①耳垢検査:顕微鏡検査で耳垢に耳ダニがいないかを確認します。 ②耳鏡検査やビデオオトスコープ(VOS)検査
    :外耳道の中を直接見て耳道の状態を観察します。

光によって逃げるため、なかなか見つけられない場合も多いですが、よく見ると白っぽいゴミみたいなものがもぞもぞと動いているのを見つけることができます。

●治療:治療期間としては約1ヶ月ほどかかります。
 ①駆虫薬による駆除
  治療法は、いろいろありますが、最近は、背中につけるタイプの駆除剤で駆虫することが多いです。他には、注射や局所に駆虫薬を使用しても駆虫できます。
 ②耳洗浄
  耳洗浄により、耳ダニ数をできるだけ減らし、耳道の環境を改善させるようにします
 ③必要であれば、抗生物質などの内服
  2次的に細菌感染や炎症を起こしているようであれば抗生剤や消炎剤などの内服をします

耳ダニ症は、治療によって完治できる感染症ですが、宿主特異性が低く感染している動物に接触した場合は感染をしていると考えた方が良いと言われています。
散歩などで野良猫や野生動物と接触した際や不衛生な環境にしているトリミング時の耳掃除やペットホテルなどでも感染する可能性があります。
耳掃除をしているけど耳垢がなくならない、耳をものすごく痒がるなどの症状が見られたときや、子犬や子猫を飼い始めたときは、動物病院で一度見てもらうことをお勧めいたします。



フィラリア予防は最後の月まで忘れずに!

今年の夏は、雨ばかりで肌寒い日も多くあまり夏らしくないですね・・・😭

天気は、夏らしくなくても蚊やダニはしっかり活動していますのでフィラリア予防やノミダニ予防は忘れずに行いましょう!✨

なぜ急にそんな話をしたのかというと、体調不良で来院された子からフィラリアの子虫がみつかりました↓😹

フィラリアのお薬は、1ヶ月間効いているお薬ではなく1ヶ月前に感染した子虫を駆除するものです。その為、蚊がいなくなってからの最後の1回の投薬がとても大切になります!!!せっかく予防していただいても、最後の1ヶ月を飲ませなかった為に、春までに子虫が成長してフィラリア症にかかってしまう事もあります😿

 

フィラリア症は、100%防げる病気ですが、感染してしまうと治療も長期になり費用もかかり、オーナ様にとっても、愛犬とっても負担の大きい病気になります。

 

美味しい予防薬で忘れずに予防してあげましょう😊


9月・10月休診日のおしらせです。ご確認をお願いいたします。

9月・10月休診日のおしらせです。
この時期は学会が多いため診療時間の変更が多々あるかと思います。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。

9月10日(日)
 学会に出席のため全日休診

9月18日(月)
 祝日のため午後休診

9月23日(土)
 祝日のため午後休診

10月1日(日)
 学会に出席のため午後休診
  


その他の病気(目次)

◇もくじ
 ご覧になりたい項目をクリックするとそのページの目次にジャンプします。
迷子になった場合にお使いください。

①動物歯科の事例集
②循環器の事例集
③内視鏡の事例集
  ⇨腹腔鏡手術の事例集
 ⇨耳科の事例集
 ⇨胃腸内視鏡の事例集
 ⇨鼻・膀胱鏡の事例集
⑤外科
 ⇨肝胆道系疾患
   001.慢性胆嚢炎&慢性化膿性胆管肝炎(2017.09.17)
⑥腫瘍科
 ⇨脾臓腫瘍
   001.いろいろな脾臓腫瘍(2018.02.26)
⑦レーザー治療
 ⇨腫瘍科
   001.皮膚腫瘤のレーザー蒸散法(2017.08.19)